久々のトピックです。いかがお過ごしでしょうか 。
新しい年度が既に始まっていて、そろそろ新しい生活に慣れてきた人もいれば、
生活状況が一新して覚えることや慣れていかなければならないことなどに追われ、目の回るような生活をしている人もいるかもしれません。ようやく気候も穏やかになり、というより少し暑い時もありますが、冬の寒い日よりも過ごしやすくなっていますので、何か新しいことをやるのにちょうどいい季節です。
さて、慈温堂は数年来、赤字経営で経過してきています。3年前に難波ではやっていけなくなり、こちら大阪狭山市の方に引っ越してきたのですが、やはり「漢方煎じ薬の自由診療」という形態はなかなか経営するには難しい昨今であります。生薬の薬価もいままでに数回の値上げにあい、それに応じて慈温堂の診療費の見直しも2度ほどやりましたが、今年も5月より一部の薬価の値上げの通達がきています。消費税も2年後くらいには10%になることは皆さんもご存じの通りですし、生薬の薬価に関しては今後も値上げは施行されていくことは間違いありません。慈温堂もこの1年が見極める年と考えております。見極めるというのは診療費の値上げをするということではありません。慈温堂の存続自体をどうするかということです。
慈温堂も父が院長となってからは既に30年以上となり、私が引き継いでからも10年以上経過しています。昔からの患者さんもまだ何人かおられますので、できるだけ継続したいという思いでやってきましたが、やはりそろそろ限界が見えてきた感じもあります。
今でも慈温堂の経営は自分の生活状況に食い込んでいますが、今後の状況としてもさらに食い込んでくることが予想されます。お恥ずかしい個人的な話ですが、家のローンもまだ大分残っており、子供達も成長とともにお金もかかってきています。住宅ローンの優遇措置も今年が15年目で最後となりますので、来年からはローンの返済を考慮すると生活状況がさらに厳しくなることが予想されます。というわけで、慈温堂のことも見極めるのは今年しかありません。今後も医院を継続するなら診療費の値上げは避けられませんが、おそらく値上げをすることが解決につながるとは思えません。基本的に患者さんの絶対数が少ないということが原因ですし、「漢方煎じ薬の自由診療」という条件ではなかなかこの診療を受けようとする人も少ないのでしょう。
診療費の値上げは、今慈温堂を利用している患者さんに多大な負担をかけて、自分の生活状況にも負担をかけて経営していくということですので、かなり無理があります。また漢方診療はなにもうちだけがやっているわけではなく、たくさんの医院や薬局もあり、保険診療でできる所も少なからずあります。患者さんには転医というわずらわしさをおかけすることになりますが、治療の継続は可能と思われます。結局のところ、父から受け継いだ医院という私自身の思い込みだけのことかもしれません。まだ、今年1年はやっていきますが、本格的に閉院の方向としては秋頃からは考えて行かなければなりません。春、夏としっかり見極めていこうという決意です。
慈温堂をご利用の皆様方には申し訳ありませんが、身近な所で、同様の診療が受けられそうな所を今から探しておいて頂きたいと思います。今の煎じ薬をそのまま継続できるのが望ましいですが、転医した場合はその医院や医師の経験などによっても変更となることもあるかと思います。またエキス剤でやるにはどういったものがあるかも継続している患者さんの治療内容を検討して出来るだけ似たような治療のやり方をお伝えできるようにしたいと思っています。
新年度からこのようなやや暗い内容で申し訳ありませんが、これも時の流れですし、変化の一つの現れです。私個人としては、どういう方向であれ、また新たな世界の幕開けとと思っていますので、前向きに受け取っています。
(遠田弘一)
2015年04月26日
080:慈温堂30年の節目
posted by ..... at 21:49| Topics