2015年07月11日

081:もうひと踏ん張り楽しもうか

 真剣に暑くなってきました。いかがお過ごしでしょうか?
熱中症予防に使える五苓散(ゴレイサン)の有用な季節です。

 さて、前回のトピックで慈温堂閉院の方向を匂わす内容を書きました。実際にあのときは心はそのようなムードの中におりましたので、ありのままを書いたつもりです。しかし、その後じっくりと自分の今の状況を見直してみますと、今の生活スタイルが自分にとってはちょうど良い状況であるとつくづく思い始めました。

 この慈温堂の場所も気に入っています。駅に近く、自宅から自転車で通勤可能で、普段運動不足な自分にとっては適度な運動になります。また、西洋医学だけでなく、東洋医学という医療に携わるのは自分の中での医療のバランスということでも非常に大切な時間であると感じます。

 それにこのような医院を閉院するのは数十万円の費用でできますが、新たに開設しようとすると400〜500万円は軽くかかってしまいます。一度閉院してしまえば、後悔してももう二度と出来るものではありません。漢方治療を継続している患者さんや最近診た数名の新患の方々のことを思うと「まだ少しでもお役に立てそうなら、もうひと踏ん張りしてみようか」という気持ちに今は傾きつつあり、しばらく閉院は先延ばしにしてみようと思います。但し、生薬の原価は値上がりしていますので、診療費の見直しはしないといけなくなります。今すぐではないですが、秋頃には診療費の改訂もあるかもしれません。ご迷惑をおかけいたしいますが、ご了承ください。

 さて、最近自分は「非二元論」という考え方に分類される思想関係の本を数冊読んできましたし、現在も読んでいます。これは自分の今までたどってきた思想遍歴(実は遍歴するような「我」はいないようなのですが•••)の自然な帰結としてたどりついた方向に非常に合致します。それは今までのトピックにもそれなりに触れてきたことではあります。この考えが自分の中に浸透するに従い、様々な物事を深刻に捉えることが薄らいできた感じはあります。もちろん自分に与えられた性格として「捕われやすく、怒りやすく、悩みやすい」という気質はそのままあるので、まだ不快なことにも多く遭遇しますし、それにひっかかってしまう自分にも嫌気がさすこともあるのですが、そういったことすべてをひっくるめて「それでいいや」というような「あああだ、こうだと言っても始まらない」というような手放し的な感覚、今の大河ドラマのセリフにすれば、「せわぁ〜ない」(『花燃ゆ』での山口弁です。意味は大丈夫、Don’t mindというような感じ)でしょうか。このような感覚がどこかにあり、その感覚が優位になれば、またおだやかな日々に戻っています。自分が意図し、出来うることは一つもないということ。すべての物事は自ずと生じ、自ずと過ぎ去っていく。自分が何かできるとすれば、それはその瞬間に心に生じる思いに素直に従うことのみ。それは成功や失敗という観点でもなく、〜すべきことや〜すべきでないことという観点でもなく、「やむにやまれぬ大和魂」というような強い思いでもなく、大いなるものに自然に委ねるという有りようです。この考え方は何らかの信仰や信念を持っている人にはピンとこない内容でしょうし、おそらく興味もわかないでしょう。それはそれでいいと思います。

 私としては慈温堂に対しては上述したような心境になったので、それに従い、もう一踏ん張り楽しんでみようと思います。

(遠田弘一)

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